■吹奏楽コラムVol.4■

さて、第4回目は作曲家の門脇治先生へのインタビューです。
門脇先生は2003年第6回「響宴」に出演、
また現代音楽の分野でも活躍されています。
門脇作品を演奏される楽団は必見です!
聞き手:神長 一康)


 

■プロフィール
門脇 治(かどわき・おさむ)
1964年、塩竈市生まれ。宮城教育大学卒業、同大学院修了。
作曲を本間雅夫、吉川和夫の両氏に師事。
1998年個展「星の軌跡」開催、1999年平成10年度宮城芸術選奨新人賞受賞。

主な作品に、
「天体より降る水」(Pf)
「前奏曲と無窮動」(Cl,Pf)
「Range第2番」(Cl、コンピュータ)
「詩人の目に映る空」(朗読と室内楽)
「edge」(Tsxと管弦楽)
「宇宙を漂う塵がやがて星となるように」(Cb、マリンバ)など。

日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、日本電子音楽協会、
グループINTE各会員。
現在宮城県仙台西高等学校教諭。





それでは門脇先生宜しくお願い致します。
■Q 1 音楽、作曲を始められたきっかけは何ですか?

ピアノを習うような家庭の雰囲気はなかったのですが、子どもの頃から歌ったりする のは好きでした。
でも人前に出るのはとても苦手でした。情報源がラジオやテレビし かありませんでしたから、
TV番組「オーケストラがやってきた」、「題名のない音楽 会」、FMのクラシック番組などで
興味を膨らませていたのですが、 富田勲さん、W.カー ロスさんのシンセサイザーのアルバム、
P.D.Q.バッハのパロディなどを聴いて、自分 もやってみたいと思いました。
音符を書くことで自分も音楽の世界に入れると思い込 みました。
後で考えると本当に無知でしたが。


■Q 2 中・高校生時代の吹奏楽体験はどのようなものでしたか? ?
中学時代は科学部員で、シンセサイザーを自作しようとして、挫折するのですが、
と にかく音楽のできる環境に身を置きたいと思い、高校入学と同時に吹奏楽部に入部し ました。

★トロンボーンに配属され、3年間3rdまたはバス・トロンボーンを担当しま した。
トロンボーンとバスで「向かって右側アンサンブル」なるものを結成したり、
その他思いつくままいろんなアンサンブルをやりました。楽譜を書く機会がめっきり 増えて、
「春の祭典」を金管7重奏に編曲してやったこともあります 。
時にはスコア 無しで直接パート譜を書いた憶えもありますが、今は絶対できません。

★ 顧問の先生に 惹かれて、帰りに先生の家に寄ることが多く、留守でも上がり込んで
レコードを聴い たりしてました。
この3年間が自分にとって決定的だったと思います。

■Q 3 お好きな作曲家、またお好きな作品は何ですか?
バルトーク「弦・打楽器とチェレスタのための音楽」(これは一生変わらない)、
ス トラビンスキーは「火の鳥」など、20世紀後半ではリゲティやベリオ。
クラシック 全般でいえばバッハ、モーツァルト。いまだに聴けば聴くほど頭が下がる。

日本人では、野平一郎、原田敬子など若い世代。坂本龍一も好きです。

吹奏楽では、近年意欲的な作品が次々発表されておりますが、
A.リード氏の作品は価 値が安定していて流石です。

■Q 5 門脇先生は吹奏楽作品の他にも室内楽などで現代作品も書かれておりますが、
吹奏楽と室内楽ではそれぞれ作曲をされる時どのような事を心掛けていらっしゃいますか?
吹奏楽の場合は、演奏団体のレベルに幅があることがまず先に思い浮かびます。
従っ て構成から楽譜に至るまで、極端に難しいことは避けようと思います。
吹奏楽アンサ ンブルの場合はなおさらです。

そうではなくはじめからプロが演奏することを前提に した室内楽(現代作品)の場合はやはり、
可能性や表現の追求のために 普通の楽譜 では収まりきれないような要求して、
よく「演奏できません」と言われるくらいです。

しかしどのような場合にも、音と音の関係によるエネルギーや、自分の持っている音 (楽)観を
表出することに努めたいと思っております。
そして、聴く人や、演奏する 人が何か感じてもらえたらなと、常に思っております。

■Q 6 さて2003年第6回「響宴」出品作品、吹奏楽のための「Toward」についてお伺 いします。
この作品を書かれたきっかけとご自身の持つイメージはどのようなものでしょうか。
また「Toward」を今年のコンクールで演奏され今月支部大会へ出場される 楽団もございます。
演奏の際のアドバイスなどをぜひお願いします。     
この作品は、母校宮城県多賀城高校吹奏楽部第10回定期演奏会のために委嘱されま した。
基になっている題材とか、主題とかそういうものはありません。シンフォニー のように純音楽です。
ですから音楽それ自体が持っている躍動感とか、和声の力関係 や、オーケストレーションによる色彩 感とか
そういうものが出せればいいのだと思い ます。

実際に演奏する際にはやはりスコアリーディングと申しましょうか、
例えばト ゥッティの和音である楽器だけが吹いている音とか、各声部毎の合わせ方、
音色の作 り方、打楽器はどういうのが相応しいのかとかテンポの設定とか、
普段気を付けるべ き箇所に気を付けるべきです。

また、純音楽とは言え演奏する際には何かイメージが あった方が良いでしょうから 、
いくらでも勝手なストーリーを考えていただいて、メ ンバー全員で共有されるのが、
まぁこれも在り来たりなアドバイスですね。
演奏しな がら涙が出てくるようになったらしめたものです。(笑)

■Q 7、門脇先生は作曲活動と同時にまた吹奏楽指導にも多く携わっておりますが、
指揮を振られる際、音楽づくりには常にどのようなことを心掛けておりますでしょうか?

★最近はバンドトレーニングがシステマチックに出来ていて、それはバイブルとして重 要だと思いますが、
音楽の持っている「流れ」、「力」あるいは曲の構成感などそう いうものを大事にしたいと思っています。
また、生徒自身がそれぞれのパートの意味 を理解し、主体的、能動的に演奏できるようにさせたいと心がけておます。

■Q 8 ご趣味は何ですか?
昔は、「音楽」とか答えてたんだけど、仕事になっちゃて。
時間もないから趣味と言 うほどものものはなかなか出来ません。
強いて言うなら「何か新しい発見をすること」

■Q 9 今後の活動、現在手掛けられている作品、今後どのような作品を創作したいとお考えですか?     
9月中旬に仙台で電子音楽の演奏会があり、そのための作品をそろそろ完成させます。
また歌の編曲が作業中。依頼ではなくても、とにかく作曲をしまくりたいです。
ただ し出来まくると言うことは決してない(涙)。
吹奏楽曲は実はあまり作曲してません でしたが、これを機により演奏されるような作品を多く作ってみたいですね。


★様々な質問にお答え下さいましてありがとうございました!


★門脇治先生、お話どうもありがとうございました。
今年吹奏楽のための「Toward」 をコンクール等で演奏する皆様、 ぜひご参考下さいませ。
他に演奏や作品についての質問などございましたら下記メールまでお気軽にどうぞ♪

門脇先生貴重なお話ありがとうございました!!


★また今回のご意見・ご感想、門脇先生へのメッセージなど
ぜひお待ちしております!!
メールでこちらまでお願い致します。

 

 

 

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