■吹奏楽コラムVol.2■

さて、第2回目は作曲家の福島弘和先生へのインタビューです。
福島先生は1998年度課題曲『稲穂の波』、2000年度課題曲『道祖神の詩』の
作曲者として 知られています。
また、作曲のお仕事の他にオーボエ奏者としても活躍もされております
福島先生には作曲家、演奏家の両面から様々なお話をお伺いしました。
聞き手:神長 一康)

 

■プロフィール
福島弘和 (ふくしま・ひろかず)
東京音楽大学卒 同大学研究科終了。
 作曲を有馬礼子氏に師事。1999 年朝日作曲賞受賞。
吹奏楽を中心に作編曲活動を行う。




それでは福島先生宜しくお願い致します。
■Q 1 音楽を始められたきっかけは何ですか?

中学校の吹奏楽が音楽との出会いです。当初、サッカー部に入るつもりでしたが、
とても美しい先輩が勧誘にこられて、思わず入部してしまいました。

■Q 2、作曲のお話をお伺いする前に福島先生はオーボエ奏者としても大変ご活躍ですが
オーボエとの出会いはどのようなものでしょうか?   
 

★小学校の時トランペットをやってましたので、トランペットパートに入りま したが、人数が多く、
あみだくじを行ったところ、運悪く?オーボエになったわけです。
しかし、美しい先輩が、同じパートにいらっしゃって、快くオーボエになったのを、覚えています。
そんな、不純な理由で、オーボエを始めたの ですが、 本当の意味でオーボエにハマったのは、
ドビッシーの「海」を聴いた時に、なんて、目立てて、カッコいい楽器なんだ!と思って以来、
いろんな曲 を聴くようになり、音楽の深いに溝に落ちていったのです。

■Q 3 作曲を始められたきっかけは何ですか?

★高校の吹奏楽部に入って、部員数が少なく、人数にあった譜面 がなかなか無 いので、仕方なく
アレンジを始めたのがきっかけで、その後、気に入らないヤツには、無理な音域を、かわいい子には、
休みの小節を多くするなど、アレンジの楽しさ?の味を占め今に至るわけです。

■Q 4 福島先生が中・高校生時代の吹奏楽体験はどのようなものでしたか?
また当時お好きだった作品は何ですか?

中学生の時は、単純でしたので、うまくなれば、女の子にモテるのではないかと、思う一心に練習をして、
中学生にしては上手なオーボエになれたような気がします。(結局、モテませんでしたが・・・)
高校の時は、チームワークを大切にしようと言うことで、ボーリングにいったり、野球をしたり、
飲みに行ったり?しました。

★当時好きな作品は、オリジナルだと「アルメニアン・ダンス両方」「風紋」「深層の祭」などです。
編曲ものだと、グラズノフの「四季より秋」ドビッシーの「海」などです。


■Q 5 福島先生のお好きな作曲家、またお好きな作品は何ですか?

日本人だと、林光、間宮芳生、高橋悠治、坂本龍一、矢野顕子、和田薫、菅野よう子各氏、
ジンガイは、ヤナーチェク、ドヴォルジャーク、バーバーなどです。
作品としては、林光さんが音楽監督を務める、オペラシアター「こんにゃく座」の「セロ弾きのゴーシュ」
「吾輩は猫である」などです。

■Q 6 福島先生が作曲されました1998年度課題曲『稲穂の波』、 2000年度課題曲『道祖神の詩』ですが、
作曲された事で当時、各団体の演奏を聴いて感じら れた事や、印象に残った事 など、
課題曲を書かれた事で感じられたことは何ですか?

楽譜の完成度としては「道祖神」ですが、人気としては、「稲穂」です。未だに「稲穂の福島さん」であり
「道祖神の福島」とは、呼ばれたことはありません。色々思うところはありますが、作曲者が、
完璧に曲を仕上げれば、 仕上げるほど、奏者にとっては、つまらない曲になってしまうのかもしれません。
 
現に「稲穂」の演奏は、とにかく色々な演奏表現がありましたが、「道祖神」は大体一緒でした。
それだけ譜面が奏者をしばりつけていたような印象があります。なので、奏者の過去の音楽体験が組み込めるような、
クレッシェンドしてもデクレシェンドしても、アッチェレしてもリットしても、奏者や作り手の責任で、
どっちになっても、さまになる曲の方がいいのかな?と思っています。    
「ここは、どうする?自分はこうしたい!」など、何時間でも話し合える曲の方が面 白いかもしれません。
ですから、これからは、不完全な曲を書いていこうと思ってます。(半分言い訳)

■Q 7、さて福島作品「吹奏楽のためのエッセイ」についてお伺いします。
この作品を書かれたきっかけとご自身の持つイメージについて。
また演奏の際のアドバイスなどをお願いします。     
  
委嘱の曲を書き始めようと思っていた時に、9・11同時多発テロが起きました。
テロとわかるまでは、「なんじゃこりゃー、マジかよ!」なんて思っ てましたが、テロと判明した時からは、
「実行した人たちは何を考えてるんだ」と思うようになりました。

この曲は、平和を願って書いたつもりはありません。
よりよい遺伝子を残そうとする生命の信号みたいなものが、自分の民族だけを繁栄させようとして、
猿の時代から殺し合ってきたものが、 今は 宗教民族などのもっともらしい理由付けをして戦っていて、
昔も今も何ら変 わりなく、 殺し合いの根源は、その遺伝子から来てるのではないかと思いました。
その遺伝子はすべての生命の中にあって〜など考えると、生きてること自体が悲しく思えるようになりました。

この曲は、人類が存在するかぎり戦争はなくならないと、平和な世界を求めるなら、
人はいなくなった方が良いのではないか、と 自問自答を繰り返してるような曲です。
以上のことばかり書くと、辛気くさい感がしますが、譜面 前述した思いを
さほど深刻ではなさそうな旋律にで書いてあります。

演奏のアドバイス は、長い音が無表情にならないように気を付けることです。


■Q 8 最近の吹奏楽について何か感じられていることはございますか?

以前読んだ本で、悪魔の音楽事典と言うのがあってその中で、吹奏楽という説明があ り「吹奏楽を偏見視するのは、
いいかげんやめてほしいと憤慨する人たちの音楽」と 載ってました。

これを読んだ時、ある意味、的を得ていたので苦笑いするしかないよ うな感じでした。
今の吹奏楽界は、吹奏楽コンクールぬきでは、考えられないところ もありますが、コンクールは良いも悪いも多大な影響を与えていて、
一般の人に与え る吹奏楽のイメージが、コンクールでもてはやされている曲が第一印象になっている ような気がします。

必ず耳を塞ぎたくなるような大音量の部分があり、表現を誇張し たり、内面的というよりは、分かりやすく表面 的のみの音楽など、
吹奏楽を偏見視さ れてもやはり仕方ないのではないか?と思うところもあります。
日本の吹奏楽が吹奏 楽コンクールがなくなっても、この先存在し続けられるのか?疑問に思います。

これ からの吹奏楽に携わっている人たちの課題は、30年50年後にも、コンクールが無くて も、
吹奏楽と言う音楽ジャンルが残っているように考えていきたいです。


■Q 9   さて全国に吹奏楽団でオーボエを担当されている方々たくさんいらっしゃいます。
吹奏楽曲でオーボエを演奏する上でのアドバイスを頂けますでしょうか?


小編成でも、オーボエは絶対必要だと思います。旋律をオーケストレーションする場 合、
クラだけよりもオーボエを混ぜた方が、 音の輪郭がはっきりして、単調にならな く、
音にうねりの様な表現が出来ると思います。

自分からのとても良いアドバイスと して?良いリードを買ってください。
実は、自分もリードを販売してます!中島楽器 店(http://www.nakajimagakki.com/menu.html
または、直接、福島まで「碧の会」 のホームページからメールできます。息の入りやすい素直な音が出るリードだ!と
自 負しております。興味を持った方は、是非試してみてください。


■Q 10  ご趣味は何ですか?
一昨年の夏にスカイラインR34を知り合いから買ったのですが、去年の暮れに全く同 じ形で、
ターボ25tが付いているのを買ってしまいました。 馬力がとてもあり速いの で、毎日、乗るのが楽しみです。

マフラーなんかも、男らしいのが付いていて素敵で す。あとは、アクアリュームに10年くらいはまっていて、
水草栽培が面白いです。こ れにふれるととても長い文になってしまいますので、面 白いことだけ伝えておきます。


■Q 11 今後の活動、現在手掛けられている作品、今後どのような作品を書きたいとお考えですか?     
「アンサンブル・ポアール」という団体を結成しておりまして、クラシックのプログラム にパフォーマンスや
コメディーを取り入れた、 エンターテイメント的な活動をしてい ます。
年内は、小学校、中学校、ホール主催偽業などで、音楽教室的な演奏会を 予定してます。

また、コラムを自分の前に書かれました坂田氏と「碧の会」を3/4彩 の国芸術劇場小ホールで第三回演奏会を行います。
是非お越しください。 「碧の会」に神長さんも是非参加してみませんか? ?

■様々な質問にお答え下さいましてありがとうございました!

そ れでは最後になりますが、このページも将来を担う、
若き小中高生のみなさんがたくさんご覧になっている事と思います。
吹奏楽に取り組む小中高生のみなさんへ福島
先生からメッセージをお願い致します!!

★音楽に限らず、スポーツでも文化活動でもなんでも、一つのことに打ち込むと、その 中から、自分らしさ、歩み方、
いろんな仲間との関わり方などが見えてくると思いま す。
辛いこともあると思いますが、肩の力抜いて、楽しんで頑張ってください。
そし て、吹奏楽をやっているみなさんは、 ぜひウィンドアート出版の楽譜をご参考下さい!


★福島弘和先生、とても楽しくお話下さいましてありがとうございました。
「アンサンブル・ポアール」の演奏会には先日伺わせて頂き本当にとても楽しい演奏会でした。
私自身福島先生
の別 の素顔が見れた感じがしました(笑)

またオーボエについてもたくさんお話下さいました。
全国のオーボエパートの皆様ぜひご参考下さい。
貴重なお話ありがとうございました!!

●福島弘和先生のホームページもございます。
全作品リストやエッセイなどがご覧になれます!!
福島
先生のHPはこちらです。

★また今回のご意見・ご感想、福島
先生へのメッセージなど
ぜひお待ちしております!!
メールでこちらまでお願い致します。
             


 

 

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